性
        者
  

        




        








                                      後編



 部屋にあるセット、て言ってもベッドだけなんだけど、そこに直江は高耶を誘う。キングサイズのバカデカいベッドは、男二人でプロレスしても、OKOK。

 ギシッ、二人分の重みでベッドは微かに音を上げる。
 ドキドキドキドキドキ……

(う〜〜緊張すんな……ッて、うわッ?!!)

 戸惑う間も無く、直江はいきなしりキスをかましてきた。しかも、スタートダッシュ上等!な息継ぎ不能の上物だ。初心者には、少々丹が重い。
「ッ……ぁ……ふぁ」
 息継ぎが上手く出来ない、苦しい、だけど、
(スッゲ……気持ちイイ……)

 こんな、スーパーキスは初めてで、高耶の耳にはもうフィルムの回る、ジーッと言う音が、遠くなっていった。



 そう、もうお分かりだろう。

 高耶のオシゴト……それはセクシー俳優!だったりする。

 高耶は、つい最近中野でラーメンを食べてる所をスカウトされた。
 始めは冗談かと思ったのだが、話を聞いてみると結構楽しそうで、丁度その時バイト止めたばかりだし……などなど、色々あって、やってみる事にしたのだ。で、その若葉マーク高耶の初仕事の相手が、なんとこの業界最大のスター!直江信綱。

 そうなると当然、

「……ぁ……はぁ……ふ……」
 口腔を、我が物顔に荒し回る直江の舌。高耶の意識は既に8割飛んでいる。

 何時の間にか、服はベッドの下に落とされていて、直江も上半身裸になっていた。キスしながら、直江の手は何気に、背筋を滑ってその先にある最終地点に辿り着いた。

「ッ?!ヒァッ!!」

 キスで既に綻び始めてる入り口に、直江の指がゆっくり入りこんでくる。それでも、まだ慣らしていない入り口は、直江の指の侵入を拒んだ。

「……ッ……イ、タ……」
「……痛い?」
 長いキスと、突然の引きつる様な痛みに、高耶の目から涙が零れた。

(か……可愛ぃ……ッ)

 直江は内心小躍りしたい気持ちだったし、実際していた。
 自分の目に、狂いは無かったのだ。

 こうして実際高耶を組み敷いていみると、顔、身体といい、反応といい、何もかもが自分好みなのだ。しかも、彼は自分とのコレが初仕事で。

(これは何ともラッキーだな)

 自分の幸運を噛み締めつつ、男はある作戦を思い付く。
 こんな上玉、他に渡してなるものか、今回で高耶を自分のモノにして、他の男との仕事を巧〜く手回しして、させない様にしよう。コレがヒットすれば、シリーズ化するだろうし、イヤ、こんなにカワイイ高耶だ、絶対する。
 そんな考えをしながらも、エロエロハンドは、休む事は無かった。

 痛がって泣き出す高耶の涙にキスをすると、直江は一旦入れていた指を抜いた。ホッとする高耶は、始めて回りを見回す余裕が出来る。

(う〜わ〜・……皆見てるよ……)

 当たり前なのだが、人前でHするのが始めての高耶には、十分刺激的で、興奮に油を注ぐ。
「ッあぁっ!!」

「見られると感じるの?」
……・うっせー……
 実際高耶のペニスはグイッと固さを増したのだから、憎まれ口は弱々しい。
「高耶さん、結構Hですね……嬉しいですよ」
「な、に言ってッ?!!ヒァ!!」

「だってコレ、スッゴク元気ですよ?」
「……」

「ここも、オイシイ」
 ペロッと、真っ赤に色付いた胸を嘗められて、高耶の肩が揺れた。
「あ」
 ジン、とした感覚が、更に敏感さを助長する。

「もっと嘗めて欲しい?」
 コクコク素直に頷く高耶に、直江は耳元で耳朶を噛みながら囁いた。
「じゃあ、言って?」
 そのまま、動きを止めてしまった直江に、高耶は恥ずかしいのを我慢して口を開いた。人間、欲望に素直なのだ。

「……なめ、て……」
「何処を?」
 意地の悪い笑みもただ、高耶の興奮を増す要素にしかならない。
「……ち…………ッあぁんッ!」

 いきなり歯を立てられて、高耶の身体がキレイに仰け反った。
 そんな高耶に容赦なく、ぴちゃぴちゃ、音に煽ら悶える少年のそそり立ってる中心を、直江はいきなり鷲掴みにする。
「あああぁッ?!!!」
 両足を膝の裏から持ち上げられて、高耶はとんでもない格好に、ビックリしてバタバタ手足を動かした。
「ちょ、ちょっとッ!!ヤダ!」
「何が?コレ嘗めるのが?」
 そう言うと、直江はアイスキャンディーみたいにペロペロ嘗め出す。
「……あんっ!あ……ふッ!」
 スーパーテクの舌技に、高耶の目が段々と焦点を無くしていった。先っぽから出てくる、白くて苦いのが、直江の口の中に広がって、それをもっと絞り出す様に根元に添えた手に、力を入れた。

「ああぁッ、ンンン……ッ!」
「高耶さん、これも、もっと嘗めて欲しい?」
 暗に、嘗めて欲しいなら言葉にしろと言う男に、もう逆らう気力は高耶には残ってない。ただこの先に待つ、快楽にしか頭が回らなかった。

「……う……ん……も、な、めて……くれ……よぉ……」
「何処?」
「・・・・・・・・お・・・ち・・・・・ち・・・・・」
 羞恥と期待に消え入りそうな小さな声に、直江はにやり、と満面の笑みを浮かべるのだ。


「イイコですね、高耶さんは」
 そう言い、御褒美とばかり爆発寸前のソレの、先っぽのくびれた所に、舌先を捻じ込む。

「ヒィッ!!」

 強いその刺激で、高耶は簡単に直江に顔面にぶちまけてしまった。
「は……」
「クスクス……高耶さん、顔にかけた事は数え切れない程ありますが、かけられたのはあなたが初めて、ですよ」
「……え……」
 開放の余韻に浸ってる高耶には、何言われているのは分かっていない。ただただ、射精後の気怠さに脱力している。
(これ気持ちイイ……出しただけなのに全然違うぞ……皆が騒ぐの、分かる……こんな”出す”のがヨかったの初めてだ……)

「……」
「高耶さん?寝ちゃダメですよ?」
 まだまだ本番はこれからだ。直江はまだボーッとしてる高耶を引っくり返して、うつ伏せのまんま、腰の下にクッションを入れた。そうすると、自然に腰を突き出す格好になるのだ。今度は高耶も、抵抗する気力は無かった。

「あなたのココ、カワイイ」
「は……」
 ツプ、と指が入ってくる。今度は痛みは無い、それどころか、高耶のソコは、直江の指をぐいぐい飲み込んでいった。
「スゴイですね、オイシイ?」
「……オイ…シ……」
「ホント?じゃあもっとあげる」
 ズンッ
「ぁあぁッ!!はぅ……っ!」
 いきなり指を増やされ、しかも乱暴に動かされて高耶の中心と腰が、跳ね上がった。
 でもうつ伏せで、しかもクッションが微妙な感じを与えて、知らず知らずの内に、高耶は自分でそのクッションにペニスを擦り付けて喘ぐ始末だ

「コラ、ダメですよ、オイタしちゃあ」
 そんな高耶に気付いた直江は、指の動きを止めてしまう。

「イヤ、だッ!!」
 折角気持ち良かったのに! 止めるなんて何で酷いッ!
 焦れて暴れ出す高耶に、直江は何と、いきなり指を四本に増やしたのだ。
 ズボッ
「ヒァッ!!」
 目の前に、本気で星が散り高耶の息が止まる。
 クチュクチュ、いやらしいをさせてるソコに、直江は徐に唇を近付けて、
「アアンッ!!ァハァ・・・・・・・アァ・・・・・・・・・」

ピチャピチャクチュクチュ・・・・・・

直江の舌は、ひだの一つ一つを弄くりまわし、高耶はもう、息も絶え絶えだ。
「イヤ……も、もう……はや、くッ……!!」
 決定的な何かが足りない。その焦燥感ともどかしさに、高耶はもう、自分で何を口走っているのか分かっていない。
「何が?」
 そう言うと、両親指で、ソコをグイッと左右に開いた。
「中、ピンクになって、高耶さんのココ、キレイですね」
「……ヤ……ヤダ……ヒックヒック

 そんなトコロ、こんな風にまじまじ見られた事なんて、当然だが無い。しかも、これはビデオに撮っているのだ、恥ずかしくて泣き出す高耶にも、直江は容赦しなかった。寧ろ、凶悪さを増していく。
「何で泣くの?こんなにキレイでカワイイのに」
 そして、高耶の背中に覆い被さり耳元で囁いた。
「ホラ、皆見てる」
「!」

 そう言いながら、直江は今まで身体中を蹂躙していた指を、全部抜いてしまう。高耶もソコは、食べるモノが無くなってしまい、物欲しげにヒクヒク蠢いた。
「ヤッ!!なおえぇ……イヤァ……」
「イヤ、なら、分かるでしょう?」
「……だ、て・」
「だって、何?欲しいんでしょ?」
 欲しい、もう、それしか高耶の頭にはない。
 満たして欲しい、最高の場所に、高耶は行ってしまいたかった。だから、
「……挿れ、て……」
 恥かしがりながらも、素直に言葉を紡ぐ高耶に、直江は調子に乗って更に次を要求した。
「何を?」
「ッ……な、え、の……オチ、チ・・・・ンッ」
 それでも健気に口にする高耶に、直江は仕事ではなく、本心からの笑顔になる。
「ふふふ……良く出来ました……じゃあ、御褒美、あげなくっちゃね」

 ズンッ

 次の瞬間、

「ーーーッ!!!」

 声にならない悲鳴が、撮影現場に響き渡る。
 後から、直江が一気に貫いたのだ。
「ほら、高耶さんッ」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、ッ!!」

 打ちつけられる度、高耶の悲鳴の様な声が上がる。
 口から目から、ペニスからだらだらと垂れ、シーツを濡らしていった。

「ああァッ!!……も、と……奥ぅ……ッ!!!」
「いいですよ……ッ……くッ……すごい、もってかれそうだ……」
「あうッ、はッ……ゥあ……ッ」


 永遠に続く艶声の上がる中、監督は一人、ほくそ笑んでいたのだった。





(これは売れるぞ……)








                                                  完

                                                  2000.11.8

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