GOOD MORNINIG!

                   HAPPENING 3
               







食事が終り、二人はそのまま直江の新居に直行した。
これからのプランを練る為だ。

まだ新しいキッチンは、高耶好みな設計で使い勝手は良さそうだ。
そんな事を考えてた高耶は、自分の考えに照れて真っ赤になる。

”て〜〜っ!オレってば、新妻みたいじゃんっ!”
自分のコト、”妻”とか言っちゃう程、高耶はコワレてた。
でも、問題は山積みだったりする。

「高耶さん、これから家に帰りましょう。話せばきっと分かってくれますよ」
「そっかな〜、ウチのオヤジ、そんな甘くねーぞ」
「それは家も同じだから」
そう言って苦笑する直江に、高耶は余裕でクスクス笑った。

「平気だって、ダメっつたらオレ、ココに来ちゃうもん、駆け落ちだね」
フフ〜ン、て鼻歌歌っちゃいそーな高耶に、直江の苦笑は益々深くなる。
長年の念願である”直江の恋人”の地位をゲットした高耶に、コワいモノは無かったのだった・・・・・

直江はと言うと、やはり、とゆーか、当ったり前、っつーか、御気楽極楽高耶より、慎重になっていた。高耶はまだ若いので、若気の至り、で突っ走っちゃえるけど、大人(?)な自分はそーはいかない。
何ってったって、長年の思いが漸く叶ったのだ、大事に大事に育てていきたい、って思うのは当然のコト。
だから、どーしても慎重になっちゃう。

そう、オトナはイロイロ大変なのだ。

「高耶さん、あなたは先に帰った方がイイですよ。後からオレが行きますから」
「えっ?何で?!」
「やっぱり、一緒じゃナイ方がイイと思います。刺激は少ない方が・・・・・」
「・・・・・・分かった・・・・」

直江はその方がイイっつーなら仕方無い。
高耶は、渋々だけど、その提案を受け入れる。

「でもさ、直江、父さんに何て言うの?」
「そーですねー、高耶さんを下さい、とか」
直江としては、ふざけて言ったんだけど、どーやら高耶はマジに受け取っちゃったらしい。
ビックリして、硬直してる。
そんでもって、見る見る、面白い位、真っ赤になった。

「高耶さん・・・・・・」
そんな”少女マンガラブストーリー病”が、直江にも伝染して・・・・・

ソファーに座ってる高耶の前に膝付き、視線を合わせた。

真っ赤に染まってる頬に触れたい、そう思った直江は、実際その通りにする。
直江の指が触れた瞬間、高耶の肩が、ピクッって、揺れた。

「高耶さん・・・・・・」
”〜〜〜スッゲ〜!イイ声!!堪んね〜っ!!”

直江の声は、”昼間っからアレかなぁ?”な高耶の1ミクロンな理性を、メチャメチャ簡単に壊してしまった。

自然に閉じられる瞼。
直江の吐息が近付いてくる、感覚。

唇は、本当に自然に重なった。
キスは、二度目だ。
高耶はボンヤリする思考で、そんなコトを思った。
でも、さっきした、高耶からの触れるだけの可愛い、でも未熟なキスとは全然、チガウ。

「・・・・ぁ・・・・」

唇の隙間から、舌が入り込んで来る、カンショクが、キモチイイ

ピチャ、と濡れた音が、高耶を更に煽っていく。
一度舌を絡めると、直江はいったん唇を離し、間近から、高耶の目を覗き込む。
何処か焦点が合ってない、潤んだ瞳に欲情する。

それに引き寄せられる様に、下唇に舌を這わすとそのまま軽く噛んだ。
それに、寄せられる眉が、堪らなくエロティックで、直江は再び噛み付く様に、唇を合わせる。

無意識に、背中を抱いていた手が下に下がっていくと、高耶の身体から最後の力が抜けて、直江に身体を預けてしまう。
それを合図に、直江は理性を振り絞って唇を離した。

「・・・・なんで・・・?」

ボンヤリとトロンとした瞳で、無意識に誘われて、直江は思わず苦笑い。
濡れた唇を指で拭ってやると、高耶は再び目を閉じる。
最後に、チュッ、と触れるだけのキス。

ポンポン、っ頭を撫でられる手は、恋人っつーより、今までみたいな保護者バージョンみたいで、高耶の意識は完全に戻ってくる。
でも、折角恋人になったのに、その扱いに高耶は今まで散々煽られてた唇を尖らした。

「な〜んだよ、それ。ガキみてーじゃん」
「コーコーセーは、ガキですよ」
「直江はガキに、あんなコト、するワケ?」

腕を直江の首に絡ませて、高耶は完全に”お誘いモード”入ってる。
だって、ハッキシ言って、もう待てない!!ってヤツだ。

今までの、積もり積もったウップン(?)、ここで晴らさないで、ドコで晴らす!!
ガキの”レンアイ”は未熟な分だけ、純粋で強いのだ。
ヨゴレちゃったオトナには、そこんとこ、イマイチ分かって無い。

「なあ・・・・やろ?」
だって、高耶だってずっとガマンしてたのだ。
ヤりたい盛りなセーショーネン!にとって、これは結構ツライ!
でも、やっぱし、直江としか、ヤりたくないし・・・・・

ガマンにガマン!を重ねて、今やっと、ヤってもイイ自分、になれたのだ、ヤりたがってナニが悪い!
それは、絶対正論。

「・・・・高耶さん・・・・」
コドモは、コドモなりに必死なのだ。だから、オトナはその天使の卵を、殺しちゃいけない。

「・・・・なあ・・・・オレ、なおえとシたいよ・・・・・・」

「・・・・・・・・」

直江だって、ヤりたくってヤりたくって・・・・・・・そりゃもう!高耶に負けない程。
でも、良い意味でも悪い意味でも、オトナなオトコは、理性と言う、純粋、と反比例するモノが育っちゃってる。

だから、コドモとSEXするのに、躊躇と戸惑いが邪魔してしまう。

「まだ・・・もうちょっと・・・・今日”恋人”になったばっかですし・・・・・」

それは、オトナの理屈。

”時期”なんか、どーでもイイ。
”時間”は、二人で決めるモノだ。

キレイな気持ちでお互いを思えば、そこに発生する全ての行為は全部ウツクシイのだ。
こんな当たり前で、正しい理論が、どーして直江(オトナ)には、分かんないのか・・・・

高耶は、正しい。
正しいから、躊躇しない。

無言で自分のネクタイを外し始めた高耶に、直江は慌ててその手を止めようと、した、が、止めた。

高耶の目には、キレイな欲望しか、ナイ。
”ホントウ”は、子供も方が良く知ってるのだ。

ここまできて、オトナはやっと覚悟を決める。

「あなたには、敵わない」

野蛮な仕草で腰を引き寄せる。
身を捩って、でもストン、って男の腕に収まる華奢なカラダ。

「・・・・・抵抗したら・・・・・・強姦、しますよ?」

その言葉に、高耶は、笑った・・・・・・・・












                          ***












「・・・・・・ふぇ・・・・・・」

乱れみった白いシーツに包まれた少年の身体には、アチコチ紅い跡が散らばってる。

心底疲れた感じの溜息に、直江は苦笑してしまった。
「高耶さん、感想は?」

「・・・・・う゛〜ん・・・・痛いの8割、気持ちイイの2割、かな」
ミョーに真剣な表情で、でも幸せそーに分析する高耶を腕の中に引き寄せて、直江はクスクス笑う。
「すぐ、逆になりますよ」
「・・・・マジ・・・・?」

思いっきし疑わしー、って感じの高耶に、直江はシャーシャーと続ける。
「イヤ、もっと気持ちイイ、割合が増えるから」
「・・・・・おう・・・・期待してるぜ・・・」

そう言い、男の頬に、チュッって、キス一つ。

大好きな男の腕の中で、高耶はこの世の幸せ!を満喫していた。
確かに痛かった。
特に、直江は入って来た時なんか、もうっ!目の前が真っ白に、大げさじゃなくって、なる位痛かったのだ。
でも、その痛みの中にも、幸せを感じた。
その時、自分はこんなにもこの男が好きなんだ、って思って、涙が出てきちゃったのだ。

暫くのお互いの温もりで、幸せを噛み締めていたが、ふと時計を見るともう8時過ぎている。
自分はともかく、高耶はもう家に帰さなくては、と思った直江は、何時の間にか腕の中で眠っちゃってる高耶を”可哀相だな〜”と思ったが軽く揺すった。

「高耶さん、高耶さん起きて、もう夜ですよ」
「・・・・・むにゃ・・・・・何・・・・・?」

寝惚け顔の高耶はもうっ!メチャメチャ可愛くって、直江は第二ラウンドいきたいのを、グッと我慢しなくちゃなんなかった。

「そろそろ帰らないと、ね」
顔中にキスを降らせながら言う直江の声は、間違い無く”恋人”に対する声で、高耶はそれにいたく満足するが、こんなに幸せなのに帰んなくっちゃいけない自分の境遇が、酷く理不尽に感じてしまった。

「・・・・泊まっちゃ・・・・・ダメ?」
「・・・・・・・・」

上目使い高耶、は世界で一番可愛い!

直江は、
「いいですよ」
って言いそーになる自分をグッと、押える。

「ダメですよ、帰ってちゃんとお父さんに話すんでしょ?」
「・・・・・・・・う゛ぅ・・・・・」

一気に現実に投げ込まれちゃった高耶は、恨めしそーに直江を見るが、どーしょーもナイのは、自分だって良く分かってる。

「・・・・・分かった・・・・・帰る・・・・・」
「いい子ですね」
「・・・・・・・」
確かに、まだ15歳な自分は”いい子”って言われても仕方無い、仕方無いけど・・・・何かヤだ。

「いい子とか、言うなよ」
「どうして?高耶さんはスッゴクいい子ですよ」
「・・・・・いい子、好き?」
「”いい子な高耶さん”が大好きです」
「・・・・・じゃあ、悪い子、になったら?」
「”悪い子な高耶さん”も大好きですよ」

「・・ならいいや」

SEX後の気だるいカイワ・・・・・・・・・映画とかでしか知らなかった世界は、高耶にとって酷く心地良いモノだって、初めて実感したのだった・・・・・・・










ダルい身体を何とか動かしてシャワーを浴びると、心配そーな直江と目が合った。
「身体・・・・・大丈夫ですか?」
直江の言ってる意味が分かって、高耶は上気してる頬を、更に紅くする。

「・・うん・・・へーき・・・・」
濡れた髪をワシャワシャタオルでされて、高耶はうっとり目を閉じる。
猫みたいだな〜、って直江は思い、今度は是非!一緒にお風呂に入って身体中を隈なく!!洗ってあげようと心に誓ったのだった。




車がドンドン家に近付いていく。
父親に、一体何て言えばいいのか、また怒鳴り合いになっちゃわないか、車が順調に進むに連れて高耶の憂鬱は、ムクムクしてきた。

そんなのが顔に出てたのか、運転席の直江は、心配そーにチラチラこっちを見てるのが分かった。
その度に笑ってやろうと思うのだが、どうやらそれは中々高度な技って事が分かり、高耶は途中からそれを諦めて、感情のままに、ブッスーって、してた。

「やっぱり、オレも一緒に行きましょうか?」
直江の気持ちは嬉しいけど、それって良く考えてみたら、火に油を注ぐ、ってヤツだ。
一先ず自分が話した方が、イイ、。

「へーき、オレが話すって」
「・・恋人、って言ってくれるの?」
「・・っ?!」

冗談半分、本気半分、でも高耶の目が真ん丸になっちゃったのを見て、直江は冗談、っつー事にした。

「冗談、ですよ」
「ビックリさせんなよ、んなコト言ったら、直江父さんに切腹させられちゃうぜ、しかも介錯ナシで」
「それは怖いですね」
高耶の的確な描写に、直江はクスクス笑ってしまう。

「そ、怖いの」
間近に迫った困難に、今だけは幸せに浸って、二人は車と言う密室に束の間の安息を求めたのだった。












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                                                 2000.10.19


             
書いてるヤツの恋愛感が、丸分かりな話だ・・・・・
                      しっかし・・・・・甘いな〜





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