皇帝陛下と意志の理 FC P.188 |
日はとうに落ち、皇妃の私室は薄暗い。だが灯りも点けず高耶は、広いバルコニーで庭園を眺めていた。
「小太郎」
背中を向けたまま、高耶は小太郎を呼ぶ。それは感情を押さえたような、静かな声であった。
「は」
「頼みがある」
「はい」
「……」
背後で静かに控える小太郎を、高耶は振り返る事なく口を開く。
「マコト」
「……」
「あの子供……マコトについて調べて欲しい」
高耶の問いに対し、小太郎が驚く様子は無かった。もっともこの男の表情が動く事など、滅多に無いのだが。
「出来るか」
「は」
ゆっくりと高耶が振り返った時には、既に小太郎の姿は消えていた。
「……」
少しの間柵に寄り掛かっていた高耶だが、小さく息を吐き、そのままずるずると、その場に座り込んだ。
「……」
暗い自室を眺めながら、あの時の事を思う。
突然教室で昏倒した子供、マコトは目を覚ました。突然眠ってしまった割には、体調に何ら問題はなく、あのままケロリとした顔で教室に戻って行った。
それはいい、何事もなく安堵した。だが、発した言葉が問題なのだ。
竜が起きた―――
突然告げられた言葉は、高耶を凍り付かせるのに十分であった。
何故そんな事を言う……何故そう思うのか……震える声で高耶が訊けば、マコトは笑顔で答えた。
「夢で見ました」
皇妃に声を掛けられて嬉しいのか、マコトは嬉しそうでさえあった。
「夢……?」
子供なのだ、明らかにおかしい高耶の様子に気付かなくとも無理はない。高耶としても、ただただ、マコトの言葉の真相が知りたかった。
「はい! 夢の中で、皇妃さまに言ってくれって。竜? 大きい大きい竜が目を覚ましたって、皇妃さまに言いなさいって言われました!」
「ッ」
言いなさい―――?
息を飲む高耶に、マコトを気遣う余裕など無い。ただ頭の中で、告げられた言葉を反芻していた。
竜
竜
竜
「……」
「皇妃さま?」
表情を失くし、黙ってしまった皇妃に、マコトの顔から笑顔が消える。そして不安そうに見上げてきた。
「皇妃さま……」
「……いや、ごめん、何でもない……それでマコト、だったな?」
それでも何とか、意識を立て直すと、何とか微笑んで見せ
る。この子供は利用(・・)された(・・・)だけなのだと、よく分かっていた。
「はい!」
無理に作った笑顔でも、子供にとっては十分だ。マコト、と名を呼ばれ、嬉しそうに頬を染める。そんな子供に高耶は、声を震わせないようにするだけで精一杯であった。
「夢でその……誰に言われたんだ?」
高耶の問いに、子供は首を傾げる。
「うーんと……声だけだから」
「声だけ?」
「はい、声でええと、声だけしか聞こえなかったです」
「声だけ……」
唸る声は低く、再び子供は泣きそうになってしまった。
「皇妃さま……僕……」
「や、ごめんな? 怒ってないぞ? マコト……声だけど、知ってる声だったか?」
ただの夢などと、当然高耶は思っていない。このタイミングに竜=c…何らかの意図があると見て間違いなかった。だからこそ、一体誰が夢を使い、高耶に接触してきたのか確かめる必要があるのだ。
「……」
高耶の問いに、マコトは少し考え首を振る。
「ええと、知らない人です」
「そう、か」
「はい」
「……」
まだ10にならないが、マコトは確りとした子供であった。優等生タイプに見え、素直でとても可愛い。
髪はよく見る濃い茶で、眸はそれよりは薄い茶色をしている。利発そうな子供に変わった様子は無く、それだけが救いだ。
もし何らかの悪い影響が子供に残るようであれば、高耶は
きっとそれ(・・)を赦せない。
「分かった……ありがとう……なあマコト」
「はい」
「おまえは急に倒れたんだ。どこか痛む所は無いか?」
皇妃に問われ、子供はキョロキョロと自分の躯を探ったが、どうやら問題は無いようだ。
「大丈夫です」
「良かった」
ホッと息を吐く。
「良かった……」
心からの呟きに、マコトは嬉しそうに笑った。
「はい、ありがとうございます!」
「……」
迷いはある。だが笑顔が戻った子供に安堵しつつ、どうしても訊かなければならない事を口にした。
「マコト」
「はい」
「その夢だけど……他に気付いた事はないか?」
心臓が、バクバクと体内に響いてくる。酷い緊張が、高耶を襲っていた。背中にも、握り締めている手にも、嫌な汗が滲んでいる。
「声が……その声はまるで……」
まるで―――
「……」
そこまで問うと、高耶は口を噤む。どう説明していいか、分からなくなってしまったからだ。そんな高耶に気付かず、マコトは元気よく答えた。
「声は頭の中でぐるぐるしてました! とても優しい声で僕、眠くなって」
「……優しい声?」
「はい! すごく静かで、優しい声でした」
嬉しそうなマコトにもう、それ以上訊く事が出来ず高耶は子供の髪を撫でる。それを擽ったそうにだが、とても嬉しそうにマコトはにこにこしていた。
「じゃあオレはもう行くからな?」
「はい、僕ももう行きます」
元気よくベッドから降りてしまったマコトに、高耶は心配顔だ。
「おい、もう少し休んでた方が……」
「僕勉勉強しないと!」
大きな声でそう言うと、マコトは医務室を飛び出して行ってしまった。
「小太郎」
「は」
「心配だから、マコトに付いてってくれ」
「しかし」
そうなると、ここに高耶が1人きりとなってしまう。
ここは王城ではない。いくら学問所であっても、警備状況は手薄と言っていい。そんな所に、高耶を1人で置いてはいけない。
無表情で渋る小太郎、高耶は苦笑した。
「いいから、オレはここから動かない。いくら何でもないと言っても、あの子は昏倒したんだ。途中で倒れないか気になるんだよ」
「では高耶様もご一緒に」
いらして下さい、そう続く筈の言葉は、
「頼む」
「……」
硬い声に、阻まれてしまう。
「頼む、小太郎」
今は、1人で考えたかった。
大きな何かが、高耶の中で引っ掛っている。だから今は、1人にして欲しかった。
そんな高耶の思いが伝わったのか、小太郎は一礼すると静かに部屋から出て行った。
「ふ……」
今までマコトが眠っていたベッドに、力無く腰を下ろす。そして何故か息を潜め、高耶は思考を巡らせた。
足元から這い上がってくるような、それは感覚であった。良い、悪い、どちらでもない、何とも説明の突かない感覚が何時からか続いている。
気の所為にしてしまえば、どんなにか楽であろう。だがそうしてしまうには、感覚はあからさま過ぎた。要するに、はっきりとしたものなのだ。
そして夢
高耶も、そしてマコトにも、接触は夢≠ナあった。
高坂は確かに言っていた、均衡が、バランスが崩れてしまう、と。
「……」
あの世界とこの世界は、全くの別ものの筈だ。なのに、それは違っていた。
「くそ……」
驚くべき事に、何処かで繋がっているのだ。
高耶は一度、元の世界に戻っている。そして高坂などは、行き来していた。それを思えば、繋がっている事は、決して不思議ではない。ないのだが……
「……」
家系故の力であると、あの男は言っていた。だが果たして、それは真実であるのか?
高耶はそれが、真実だと思っている。だがそれは、真実の一部にすぎない、とも。
そこへ来ての夢≠ナある。
マコトの夢は、明らかに高耶へのメッセージだ。
誰かの夢≠使う事の出来る力―――
「……」
高耶の頭には、2人の存在が浮かび上がっていた。こんな奇妙な現象に関わるなど、2人以上いてたまるか。
「高坂……」
あの、不可思議な男。そして、
「……」
無意識でも、言葉に出来ない。
まるで感覚は、高耶の足元から這い上がり、包み込むような温かさがあった。
「く……ッ」
守って、いるのか―――?
「は……」
高耶は自分が、泣きそうな顔になっている事を知らない。
ボンッ
拳をベッドに叩き付けた。
「くそッ!」
何故涙が出るのか。
「くそッ! くそッ!」
何度も何度も、拳をベッドに叩き付ける。
可愛いあの子……高耶を愛してくれた竜……
マコト≠ナあった理由、そして現れた親友。
何もかもが分からない。
「……違う……」
本当は、分かっているのか、オレは―――?
「オレ、は……」
そのまま高耶は、小太郎が戻ってくるまで、横座りのままベッドに突っ伏していたのだった。
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小太郎は更に、マコトの調査を続ける事となった。そんな報告を聞いた高耶は、翌朝何時もの食堂で直江と朝食を摂っていた。
「ぁふ」
小さく欠伸をしつつ、サラダを突っ突く皇妃を、皇帝はジッと見詰めている。
小太郎が去った後、バルコニーで色んな事を考えた。それは今のこの状況だけでなく、この12年、この世界で見てきた様々な出来事だ、
本当に、色んな事があった。暗く悲惨な、血腥い世界も知った。
トサの圧政で、苦しんできた者達。今はこのエチゴの為に、働いてくれている赤鯨衆。
オオウから救い出したミヤは、今も王城で元気に働いている。オオウでの奇妙で陰惨な事件の中で、唯一良かったと思える出来事である。
シーバ教のモリ、オワリ新王の、周到かつ異常な罠からの脱出。その他、何故こんなにも、と思う程様々なトラブルが高耶を襲った。
何より高耶の脳裏にこびり付いているのは、リュウキュウ、女王ミナコだ。
狂った、そして哀しい女だった。
高耶との子を病的に望み、強姦し子を成した。だが結局子供は母と共に、腹の中で死んでしまった。高耶自身の、唯一血の繋がった子供である。
望まぬ性交を図られた末、出来た子供だ。それでも、彼、彼女は、紛れもない高耶の子供である。
生を持つ事は出来なかったが、もし生まれていたら……そう、いまだに考える。
本当に、色んな事があり、考えている内に夜が明けてしまったのだ。
「ふぁあ」
お陰で今朝の高耶は寝不足である。
「高耶さん」
「あ、悪い」
食事中に大欠伸をしてしまい、慌てて引っ込めた高耶はバツの悪い顔になる。誤魔化すように、グラスに残っていたフレッシュジュウスを一気に飲み干した。
「高耶さん……随分と眠そうですね」
嫌味ったらしい直江の言葉に、高耶は唇を尖らせる。
「眠いな」
「昨夜は眠れなかったんですか」
「まあ、そんなとこ」
「ふん」
意地の悪い眼差しに高耶は、目付き悪く直江を睨んだ。
「何だよそれ」
「いえ、珍しいと思って」
「オレだってそんな日もあるって」
「……」
「何だよ」
ジッと見詰めてくる目に、高耶は居心地悪そうに顔を顰めた。
「……高耶さん」
「だから何だって」
何時の間にか、直江の手も止まっている。それを見て、高耶は内心焦り始めた。
「何か、俺に言う事がありませんか」
静かな直江の声に、高耶はドキリとする。だが顔に出す事なく、さり気無く目を逸らすが上手くいかない。
「何かって何だよ」
口の中にあるベリーのパイが、何時もより酸っぱく感じられるのは、気の所為だろうか。
惚ける高耶に構わず、直江は追及する。
「夢の続きでも見たのでは?」
だが出て来た直江の言葉に、高耶は躯から力を抜いた。
「……」
内心、昨夜の事が知れたのかとヒヤヒヤしていたが、そうではないらしい。少しだけ安堵しつつ、高耶は素知らぬ顔で肩を竦めた。
「もうあの夢は見てないよ。同じ夢って、あんまり見る事ないだろう?」
「……」
「何だよもう。おまえしつこい」
苛立ちを隠さず残りのパイを口に放り込むと、丁度良いタイミングでやって来た給仕にお茶を頼む。
「それよりオレも、訊きたい事があるんだ」
「何ですか」
しつこい、と言われムッとはしているが、それ程直江の機嫌は悪くない。それに安堵しつつ、高耶は思い付いた事を口にした。
「国内でも他国でも、何か変わった事はないか? 最近妙な事があったとか」
出来るだけ、何気なさを装った。それでも直江は訝しみ、高耶を見ている。
「何故」
「何故って……普通気になるだろう? 何か変わった事はないかなんて、何時も訊いてるし」
「……」
高耶の言葉はもっともであった。為政者として常に、国内外の異変には注意深く目を配っている。
「そうだろ?」
「……」
黙ってしまった直江に嫌なものを感じ、高耶は探る目になった。
本当に、何か起きてしまったのではないか……
「何か、あるのか……?」
これが、良い知らせなら歓迎だ。だがこんな時の知らせは、殆どの場合逆になってしまう。
「何と言う程のものではありません」
歯切れの悪い皇帝に、皇妃は少し乱暴にグラスを置いた。
「言わない程のもんならある訳だ」
嫌味を隠さない高耶に、直江はにやり、と嗤う。
「ええ、そう言う事ですね」
「だったら言えよ」
「何故」
「何故ぇ?! おまえ、何言ってんだよ」
「言わない程、と言ったでしょう」
「……馬鹿だろ」
何を遊んでいるのか気に入らないのか。言葉遊びに付き合う気分ではない。
「馬鹿ですか」
シレっと嗤う直江に、高耶は眦を引き上げた。
「馬鹿……ッ! じゃねえよ一応……」
為政者として、統治者として、直江は高耶の目から見ても天賦の才を持っている。それは認める、だからただの馬鹿、では無い。
渋々訂正する高耶に、直江の表情が柔らかくなった。
「嬉しいですね、そんなに俺が好きですか」
完全にからかってくる直江の機嫌は、多少は回復したようだ。対照的に、高耶は増々不機嫌になった。
「好きとは言ってねえ」
「じゃあ嫌いですか? この俺を?」
「……おまえ、自分でこの俺″とか言って恥かしくねえの?」
「全く」
「あっそ」
ふん、と鼻を鳴らす高耶にだが、直江は止めとばかりに告げるのだ。
「嫌い、なんですか?」
「……」
「高耶さん」
にやにやしているようで、見ると直江の目は決して笑っていなかった。薄紫の眸の奥には、剣呑で物騒な光が浮かんでいる。
この目が、初めの頃高耶は嫌いだった。こんな目をされたりしたら、憎まれているとしか考えられないではないか。
だが、直江の中の恐怖≠知ってから、どうしても嫌う事が出来なくなっていた。
高耶が消える―――直江の持つ唯一の恐怖はこれだ。恐怖し憎悪し怯え、深層の部分で震えている。
直江の内部を巣食う、黒く小さい、だが深い深いシミであった。
高耶が少しでも、普段と違う素振りを見せると、この恐怖が直江の中に浮かび上がるのだ。
離れるつもりなどないと、心配してくれるなと、何度となく訴えても直江の恐怖は消えてくれない。だから高耶は絶望しつつも、それを受け入れた。受け入れるしか、なかったのだ。
「おまえ……やっぱり馬鹿だ」
「……」
「おまえはオレのなのに」
「……」
「嫌いでも嫌いじゃなくても、そんなもんどうでもいいんだよ……おまえはずっと、オレのもんだ」
言い切る高耶は清々しく、曇り無い笑みを直江に向けた。本心であり真実は、高耶の口から自然と零れていた。
「……」
食入るように直江は、そんな高耶に魅入る。そして、ふ、と、これまで見たどんな人間よりも、秀麗な容姿を持つ男は息を吐いた。
「……俺は、あなたのもの……ええ、確かに」
噛み締めるように、直江は呟く。
高耶は知らない―――高耶にとっては何でもないような言葉はだが、直江にとっては命綱″である事を。
だが、一方で直江も知らないのだ、直江が自分自身でさえ知らない闇≠、高耶こそが理解している事実を。
泣きたい想いを飲み込み、高耶は直江の手を取るのだ。
「確かにそうですね」
「そうだ、今更だぜ?」
にやり、と嗤う高耶に、直江も苦笑を浮かべた。
「だから言えよ」
「まだ言いますか」
「言う。ほら早く。おまえ忙しいんだろ? トロトロしてっと八海が押しかけてくるぜ?」
ふふん、と鼻で嗤う高耶に、直江はやれやれ、と肩を竦めた。
「ですから、大した事ではないんですよ。ミヨシとの国境の街に、最近虹が頻繁に現れると報告が入っています」
「……虹?」
ピクリ、と高耶の肩が揺れる。
「何だそれは」
詳しく教えろ、とばかり高耶はテーブルの上で身を乗り出した。
「あの地方、そんなに雨降ったっけ?」
ざわり……胸の奥が、ざわめき立つ。それに気付かぬ振りで、高耶は疑問を口にする。
「もう雨の多い時期は過ぎただろう? なのに虹か?」
「いえ、雨も無く、ただ虹が出るんですよ。しかもその虹は大きく色も濃くくっきりしています。それが美しいと、最近は人が増えていると、先日報告が入りました」
「……」
虹―――
虹とは、自然現象である。
瞬間高耶は、ウオヌマでの出来事を思い出す。
野菜が見た事もない程巨大に育ち、農民達は怯えた。そこへ高耶達は向かったのだ。
直江は記憶を失い、そこへ高坂がやって来て……何とも苦い思い出である。
記憶を取り戻したから良かったものの、もしもあのままであったなら、そう考えるとゾッとする。
だがこの事件を知った直江の方が、高耶よりも衝撃を受けたのは確かであろう。
自分の記憶から高耶が消えていた……どんなにか、恐怖であったか。
「それは奇妙だな」
「ええ」
直江も何かを感じているらしく表情は硬い。
「いままで、そんな事はあったのか?」
「いえ、エチゴは無論、そんな現象は耳にした事はありません。もっとも、知られていないだけで、そう珍しくは無いのかもしれないが」
「……」
ミヨシ、と聞けばやはり、ミホ姫……2人の息子の婚姻を考えてしまう。
その街がミヨシに近いのならば、ついでに訪ねてみるのもいいかもしれない。
手紙の遣り取りはあっても、ミホにはあれから2年会っていない。14歳から16歳、女の子が一番変わる時期だ。そう考えると会ってみたくなる。
何よりも、その虹を見ておきたい。否、見なければならない、そんな気がしてならなかった。
「なあ直江」
硬い表情の高耶を見て、直江は溜息を吐く。
「何を言い出すのか分かっています」
「話が早いな」
不敵に嗤う高耶に、直江は嫌な顔になる。
常に多忙である身だが、夏前の今の時期は、比較的政務が楽になる。
ミヨシは隣国で、そう距離は無い。早馬を使えば、ここ王城から1日で到着する。広大なエチゴでは、国内移動するよりも近いと言えた。そんなミヨシ国境の街なのだ、手軽に視察に行けるのは事実であった。
そして今回の不思議な虹。
「な?」
「……」
断る理由が見当たらない現状に、直江は舌打ちする。そんな皇帝に、皇妃はにんまりと、勝ち誇った笑みを浮かべるのであった。
ラストへの第一歩的巻です。
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