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             A long time ago in a garaxy far far away・・・・・・・

                        昔々 遥か彼方の銀河系で・・・・・・・・・


































                          EPISODE V




直江は、今だ衝撃から立ち直れていなかった。

(マスター高耶だってっ?!この頭の悪そうな子供がっ?)

目の前で、エッヘン、といった感じで偉そうにしている少年が、ジェダイのマスターとはとても信じられない。
それでも何だかんだ言っている内に、納得せざる得ない事が分かった。
直江は今までに起こった出来事を全て高耶に話し、彼の反応を待つ。

無言で立ち上った高耶は小さなキッチンに消え、直ぐにマグカップを手に持って、戻って来た。
「有り難う御座います・・・・・」
しかし、手渡されたカップを覗き込んで、直江は固まってしまった。
「・・・・・あの・・・・コレ、は・・・・・・・?」
「良い匂いだろ?美味いぜ」
「・・・・・・・・・・」
バニラビーンズが浮いているそれは、乳白色でバニラの香りがプンプンする。
甘さで、脳細胞まで染まりそうだ。
甘い物が苦手な直江にとっては、拷問に等しい。
しかし、マスター高耶が折角煎れてくれたのだ、何としても飲まなくてはっ!と決心し、覚悟を決めて喉に流し込んだ。

「−−っ」

余りの甘さに咽せそうに、なる。
「どうだ、美味いだろ?」
自分用に煎れたそれを美味しそうに飲みながら、高耶は直江を伺う。
「・・・・・・・」
どう答えようか迷ったが、今美味しい、と言ってしまったら、今後も出される可能性が高い。
迷った末、直江は思い切って高耶に言う事にした。
この飲み物は、それ程までに、甘かった。

「・・・・・あの」
「どうした?美味くない?」
途端に悲しそうになる高耶の貌を見て、直江はつい,心にも無い事を口走ってしまう。
「いえ、とっても美味しいです」
「そっか、良かった、お代わりあるからドンドン飲めよ」
「・・・・・・・・・・・」

せめて、今回で最後になりますように、と言う直江の祈りは勿論、叶えられる事は無かった・・・・・




「え?今何て言いました・・・・・・?」
「だから、ベッド一つしたないんだ。誰かが泊まるなんて何十年ぶりなんだからしょうが無いだろ」
何と高耶はベッドが一つしかないので、一緒に寝よう、と言うのだ。
直江が慌ててしまうのも、当然と言えよう。
「い、いえっ!私は居間のソファーで休みますので御遠慮します」
「何言ってんだよ、ここら辺夜になると結構冷え込むんだ、大丈夫だよ、俺のベッドすごく大きいから」
「・・・・・・・・・」
そうゆう問題では無いのだが、結局高耶の言う通りになるのだろう。
このジェダイのマスターは、直江の想像から遥かに懸け離れた行動を取る。
外見からして、とても信じられないのだ、これ以上驚かせられる事が起きるのだろうか。
「直江、疲れてんだろ?早く休んだ方がいい。明日から忙しくなるんだから」

笑ったり、怒ったり、剥れたり、コロコロ鮮やかに表情を変えるジェダイ・マスターは、直江をかなり戸惑わせるが、何故かそれに接していると何かが満たされていくのだ。
しかし、これはマスターとしての力ではなく、高耶の優しさだと言う事と、とっくに気付いていた。
「では、御言葉に甘えまして御一緒させて頂きます」
開き直ればどうと言う事でも無い、直江はこの出来事を楽しんでしまう事にした。

高耶のベッドは、彼の言う通り中々に大きかった。
しかし、t”高耶が二人”では窮屈は感じ無いだろうが、その一人が直江となると話は別だ。
「・・・・・・・・・」
実際二人でベッドに入ると、余計それを感じた。
「・・・・・・・・・」
そこまで考えていなかった高耶は、自分が言出したものあるのだろう、狭い、とは言えない。
勿論初めから分かっていても、寒い居間で直江を寝かせる、なんて事は出来る筈が無い。
無言でベッドの中心に寄ると、自然と寄り添う形になる。
直江は内心かなり焦ったが、寄り添う高耶の体温は酷く心地良く、急速に眠りに落ちていった・・・・










こうして、高耶による直江のフォースの特訓が始まる。
それは厳しいものだったが、直江は確実にそれを身に着けていった。




直江の中で、高耶の存在は無くてはならないものに、なりつつあった。
このままでは帝国を倒す、と言う最重要事よりも大切になるであろう事は、容易に想像出来る。

ーーー引かれていく、この存在にーーー

直江はふと思う、もし自分がいなくなってしまったら、この人はまた、独りぼっちで生きていくのか・・・・・
この、優しく、寂しく・・・・・・・悲しい人は・・・・・・・・



「もう寝ようか」
ずっと無言で食事をしていた高耶が、口を開いた。
「そうですね・・・・・・」

ベッドに入っても、高耶は一言も喋らない。

「・・・・・・直江・・・・・」
不意に名前を呼ばれて、直江は動揺を隠して答えた。
「何ですか?」
「・・・・・・・明日、沼へ行こう、お前の乗って来た艇を引き上げるんだ。今のお前なら出来る筈だ、そして・・・・早くベンの元へ入った方が良い」
「−−つーー」
分かっていた事をはいえ、その言葉は思っていた以上に衝撃を与える。
直江は、決心した。
「・・・・・・高耶さん、私独りでは無理です、あなたの一緒に来て私を助けて下さい」
「なっ?!」
余りに驚いたのか、高耶はベッドから上半身だけ勢い良く跳ね起きた。
そして、直江の貌をまじまじと見詰める。
「一緒に、来て下さい」
静かに、しかし力強く、高耶の目を真っ直ぐに見詰めて言った。
「・・・・・オ、オレ・・・・・」

この星に独りでやって来たのは、何時の事は、200年前の事か、300年前の事か、今ではもう良く分からない。
醜い争いが嫌で、しかしその争いに沢山の戦士を送り出し・・・・・今度は・・・・・・

高耶は自分が動く事で事態が大きくなり、犠牲が増える事を何よりも恐れていた。
自分が動いた所為で、『彼』は・・・・・・
辛い思い出が蘇り、高耶はシーツをきつく握り締める。
その手を、直江はそっと包み込んだ。
「大丈夫、私は大丈夫です」

「っ?!」
高耶は弾かれた様に、男を見た。
彼は、高耶の痛みも全て分かっているかの様な、優しく深い瞳で見詰めている。

(・・・・・・・父さん・・・・・・・)

彼なら、長い間捕われていた『彼』の呪縛を解いてくれるかもしれない。

高耶は、心を決めた。
「・・・・・・・俺、行くよ・・・・本当はもっと早くやらなくっちゃいけなかったんだけど・・・・・・・・」
「高耶さんっ」
「もう寝よう」
「ハイ、おやすみなさい」
「・・・・・・お休み・・・・直江・・・・・・」
直江は満ち足りた気持ちで、高耶は底知れぬ不安を抱えて、それぞれの夜は、更けてゆく・・・・・・





「さあ、やってみろ」

沼のほとりで高耶は、その沼の中央にある突き出した岩の上に立っている、直江に命令する。
直江は目を閉じ、身体中に流れる”気”に意識を集中させた。
苦しい時間が続く。
高耶は静かに直江を見守った。
どれ位時間が経っただろうか、沼の表面に微かに気泡が浮かんで来る。
直江は額に汗を浮かべ、集中し続けた。
気泡が次第に大きくなるのを、高耶は一心に見詰める。
「・・・・・・・ク、ゥ・・・・・・ッ!」
直江の限界が近付いていた。
もう持たない、直江がそう感じた時、とうとう艇が水面の真下に姿を表した。
「・・・・・っ!」
高耶は、息を呑んだ。
ゆっくりと、しかし確実に艇は水面に上がってくる。

何時の間にか、直江の表情から苦悶の色が消えている。
素様じい集中力で、完全に自分のフォースをコントロールしていた。
艇が完全に沼から浮き上がり姿を見せた。
そのまま空中をう移動し、高耶の直ぐ脇の陸地に、静かに降り立つ。

「直江・・・・・・」

高耶が何か、声を掛けようとした時、



バキバキバキバキバキーーー



とんでも無い爆音がしたと思うと、沼地の脇の密林に、一台の古い艇が着陸した、いや、着陸と言うより落ちて来た、と言った方が近いかもしれない。
その音で我に返った直江は、そのとんでもない艇、ファルコン号を見て驚き、次の瞬間何があったのか、と不安に襲われた。
目を丸くしてファルコン号を見ている高耶に説明する。
「高耶さん、あれが前に話したファルコンです」
それを聞いて、高耶は納得して頷いた。
降りて来た時と同じく乱暴にハッチが開き、綾子が駆け下りて来る。

「直江っ!!」

血相を変えた綾子に、直江の不安は益々膨らむ。
「綾子、何があった?」
「何が、じゃないわよっ!大変なのよっ!!」











                                                         fin

                                                      2000.11.11

    

         この話はココで終わり。だって、新しいの書いた方が楽しいから(笑)
  スッゴイ省略してるから、、全然分かんないッスね〜〜。もしちゃんと読みたいと思いましたら、本の方をどーぞ